認知症対策~思ってもみなかった効果~ [診療日誌]

認知症のおばあちゃんが、最近義歯をつくりにみえます。
付き添いのお嫁さんは、とてもよくお世話をされているようです。
義歯を装着して、「なかなかいいですよ!」というお言葉をいただきました。
まずは、一安心。
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私がお嫁さんに「認知症の具合はどうですか?今日はとても良い状態に見えますが・・。」と話すと・・。
せきを切ったように、お嫁さんはしゃべり始めました。
「今日みたいに、とても穏やかにしている時と、そうじゃないときがあるのです。」
「だけどね、ちっちゃい孫ができてから、孫のそばにいるとね!普通のおばあちゃんになるんです!」
「孫が心配で、心配で、とにかく世話をしていると、いいんですよ。おかげで、要介護2だったのが1になりました。先生、動ける認知症は本当にたいへんですよ!でも、正気なおばあちゃんは、本当に良い人なんです。」
と・・・。
介護で大切なことは、われわれがいかに手をかけてあげるかでは、なくて、その人が必要とされることをみつけてあげることも大切です。要するに仕事をみつけてあげること、世の中で役に立つことを、みつけてあげること・・。これも大切なことだということがわかりました。
本当に、良いお話をいただきました。勉強になりました。

ただし、認知症の方に限らず高齢者の方に任せすぎると・・諫早でおこった事故のように、大切なお孫さんを車の中に置き忘れて、大切な命を失うことになることもあります。お孫さんや、ご両親もお気の毒だと思いますが、置き忘れたおじいちゃんの心中も・・・・・・。周囲の人の注意も必要ですね。
(写真は、先月コンビニのローソンでいただいた「あさがお」の種を、植えてみたら発芽!?したのを写したものです!)
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よい歯のコンクール [診療日誌]

毎年恒例の歯科医師会の仕事の中でも、一番の仕事です。
正式には「歯の健康優良児選抜審査会」ですが・・。
昨年のこのブログにも書いたように、生まれもってきた自分の性質?器質?を評価するようなこういった
事業は、個人的にはあまりよいことではないような気がするのです。
だったら、「よい目のコンテスト」とか「よい血液のコンテスト」なんかがあってもいい気がするのですが・・。

でも、私は主催者の中でも先頭に立って、やらなくてはならない専務理事だし公衆衛生の理事ですから・・・。

今年は、それでも、すごくよいことがありました。まず、第1点は日ごろ歯科医師会の活動に参加されない先生が今年は審査委員になっていただけたこと。
そしてもう一つは、総合支援学校といって障害を持つ学生さんが行かれてる学校から、この審査会に推薦された生徒さんがいたことです。障害をもった生徒さんは、なかなかお口のほうまで手が回らなくて、ご家族や学校でも健康なお口をもつ生徒さんはまれです。そして、その生徒さんはどうどうと優秀賞に選ばれました。
関係された学校の先生やご家族、そして校医の先生が大切に生徒さんに対応されたこと、また審査委員の先生も「よくここまで歯を大切にしたね。」と一言あったこと、とてもよかったと思います。
とても、あたたかい雰囲気が流れてました。
立派に表彰式にも出席していただきました。
いいことも、あるのですね。
うれしくなりました。
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学校歯科検診が終わって [診療日誌]

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学校歯科検診が終わる5月末から6月になると小学生や中学生の患者さんが増えてきます。
水曜日の午後は、学校が早く終わるので当院も小児歯科専門になったように子供たちの予約でいっぱいになります。診療室に来る子供たちは、みんなかわいくって、元気いっぱいです。
こんなかわいい子供たちが、大きくなると、男の子はひげが生えて無口になり、女の子は大人の冗談も馬鹿にするように小憎らしくなっていきます。
開業当初は、虫歯が多くていつも治療は、夏休みまで通院が必要でしたが
 最近は虫歯はあっても数本で、しかも簡単に終わってしまいます。
コミニュケーションをとるまでもなく、終わってしまう子供たちが多くなりました。
学校で行っているフッ素洗口の効果の賜物でしょう。
しかし、虫歯が多い子も、いないわけではありません。

2歳のころから通っているリエちゃん(仮名)。やさしいおばあちゃんに、もらったお菓子で乳歯が見事に虫歯だらけ・・・。最近、やっと歯科医にも慣れてきて、「この前、水族館に行ったよ!」とかいろいろ話をしてくれます。
「わたし、猫や犬好きなんだけど、アレルギーなの!」と話してくれました。
虫歯のせいで歯茎が腫れたら、抗生物質は気をつけたほうがいいな!と子供たちとの話の中で、情報がつかめることもあります。
リエちゃんのおにいちゃんが、学校検診があって当院に受診しました。おにいちゃんは、リエちゃんと違って、虫歯はないのですが、歯肉炎といって歯茎の周囲に炎症があります。
小学生の高学年や中学生になると、ホルモンの関係や、親離れすることでブラッシングが、いい加減になり歯茎に炎症のある生徒さんが多くなります。衛生士さんが、ブラッシング指導をします。
「わかった?こういう方法で磨いてごらん。」
最近はいいですね。丁寧に衛生士さんが教えてくれます。私たちが子供のころに衛生士さんからブラッシング指導を受けた記憶がありません。
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すると、リエちゃんが「おにいちゃん、ぜんぜん歯ブラシしてないよ!」と、そっと教えてくれました。
ここの歯医者に長く通って歯ブラシは、教えてもらっているので、私のほうが先輩だとでもいうような口ぶりです。

おにいちゃんは「リエ!お前の見てないところで、ちゃんと、磨いとるもん!」
と、いばって反論しましたが・・・・。本当ですかね?
(写真は、今年植えたロベリアとひな草です。)
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AEDを使った救命処置 [診療日誌]


もう2007年になりますが、当医院のHPにも掲載しておりますようにAEDを使用して救命することができた事例があります。先日ALSOKの方がお見えになって「HPにUPしました。http://www.alsok.co.jp/corporate/aed/voice.html」と報告をうけました。紹介しますね!


「8月16日の朝8時50分ごろ、来院した男性(56歳、既往症有り)が、受付終了後に突然倒れた。
当日は全国で熱中症による死亡者が11名も発生した猛暑の日であり、件の男性も自宅から10分かけて当院に到着したときには、全身汗びっしょりで顔面蒼白だった。受付より院長室に急患に関する通報があり、現場に急行後、早急に人工呼吸と胸骨圧迫を開始した。

AEDに関する指示をすると共に、衛生士が救急車の手配を行った。男性はその時点で意識消失、呼吸無し、脈拍不明の状態であったが、AEDをその場で装着し、心室細動が認められたことからショックを1回実行した。直後に男性はうめき声を漏らし、明確な反応を見せたが、そこで救急隊が現場に到着したため、AEDを装着したまま病院へ搬送されることとなった。

その後当院に対してAEDの返却に訪れた救急隊員から、AED内のデータを解析させてもらいたい旨要請があった。
この点からも、AEDの早急な停止やバッテリーを外すことは慎んだほうが良い。
後日、担当医と連絡を取った際に、患者が心室細動の兆候もなく回復している旨と、初期対応が良かったことを感謝された。
思い返してみれば、以前参加した山口県歯科医師会主催のICLS(Inmediate Cardiac Life Support)コースにおいて、救急救命講習を受けていたことが、実際の緊急時に役に立った。また、AEDを導入していたこと、医院内でその使用に関する訓練を幾度も繰り返していたということが、迅速な対応につながった。

暑い日が続くが、医師・患者共にご自愛のほどお願いいたしたい。」

といった要約ですが、山口県歯報に書いた文章をご希望の方は、お知らせください。コピーを差し上げます。
AEDは、市内でも普及し始めていますが、まだまだ少ないし、それすら知らない方も多いようです。
町内会でも、説明しましょうか?とお話したことはありますが、「先生が知ってればいいから」とお断りされました。
私は、いつもいるわけではないのにね・・!?





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隗より始めよ! [診療日誌]

このところの新聞には、興味深い内容のお話(コラム)が多いようで、少しずつ紹介します。
先日の新聞のコラムで、大阪脳神経外科病院長の太田富雄先生が書かれた「隗より始めよ!」という文章は、少し考えさせられましたので紹介します。

タイトルは「医学教育」ということで医学生に対しての医学教育の場で患者・医師間の人間関係について昨今の教育では段々と疎遠になっていると書かれていました。その結果「医療崩壊」につながっていると考えておられます。その解決策として学生に医療の現場における主治医団に加わり、患者さんと快癒を喜びあったり、不幸な治療結果に打ちひしがれたりする心理的葛藤を経験すれば医療倫理も解決してくるのでは?と提案されてます。
 急ぐべきは医師の増員でも医師間の経済的格差付けでもなく、自然と頭の下がる「良医」の養成である。患者さんやその家族から信頼され、労をねぎらってもらえるなら、医師は医療に喜びを覚え、むしろ肉体的に困難な診療科にこそ挑戦しようとする学生もでてくるだろう。・・・と書かれておりました。

どうでしょうか?「心ある医師」の養成は大変大切なことです。とっても良い意見だと思います。
臨床を経験するということは、非常に大切なことです。論文を読むだけで、臨床をされてもよい結果は、得られることが少ないでしょう。
自然と頭の下がる「良医」というのは、いい表現ですね。
是非、自分もそうなりたいものです。
でも、地域では神様の手を持つ医者は、いなくても、「自然と頭の下がる良医」は、結構少なくはないように思います。身近な所にも、多くいらっしゃいます。患者医者関係は、地方では良好なことが多いようです。
その反対に、とんでもない先生も、いらっしゃいます。
私は、この意見には賛成ですが、臨床体験をさせて教育をされる主治医の先生によるのではないかな?と思っているのです。
それにしても、「隗より始めよ!」とは言い言葉ですね。{遠大なことをなすには、まず卑近なことから始めよ。}とか{賢者を招くためには、まず自分のようにさほどにでもない者を優遇せよ、そうすれば賢者は次々に集まってくる}という意味です。何事にも言える言葉ですね。
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偽善の医療 [診療日誌]

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よくぞここまで・・という内容が書かれています。
たとえば・・
病院に入院しなくてはならないときに、よく同意書など書類をたくさん記入しますよね。
臨床診査だけでなく治療が始まる場合にも、数限りなく求められるサインを、(銀行や郵便局もそうですね・・)
どうにかならんのか?と思っているのは、患者側だけではなく、医療者側も思っているのですね。
多少、言葉は乱暴ですが、医療の問題点を痛烈に批判しつつも、この先生は、すごくやさしさを感じる先生だなと思います。
この本も、お勧めです。
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口から食べるってやっぱりすごい! [診療日誌]

ケアマネさんから「ターミナルの患者さんなのですが・・・・」とお願いされたのが、昨年の秋でした。
もう年内にも亡くなるかもしれないので覚悟していかねばなりませんでした。
あ~ターミナルか!私にできるのかな~!本当におそるおそる出かけていきました。
入れ歯を修繕して、介護食のゼリーを食べていただこうとしました。
ご家族から「母は、ゼリーは食べませんよ。」と言われたのですが・・・。
「あ~,、おいしいね!]と一言。その後食欲は増進し、歯科衛生士による口腔ケアによって舌苔もきれいになり味覚が向上してさらに、食欲が増してきました。
訪問させていただくたびに、顔色がよくなり、目もパッチリしてきました。
もう点滴による栄養補給はいりません。
先日のサービス事業者の担当者会議では、なんと、デイケアに行かせようという話になりましたよ!
すごいですね!
やはり、口から食べること、お口をきれいにすることはすごいことなのですね。
私たちは、口から食べることができるのか否かの診断がしっかりとできるようになることが必要ですね。

いいことばかりじゃない! [診療日誌]

先日、ある急性期病院に訪問診療しました。現在全粥ですが、入れ歯が、全く合わないので製作を希望されました。今の食事ではむせはないし、誤嚥性肺炎を疑わせる症状ないし、「義歯がよくなれば、もっと食事形態のUPができるかもしれませんね。」と私。
無事に型を採ることができて、入れ歯の製作にとりかかりました。そして、患者さんは、ある病院に転院されていましたので、そちらに入れ歯を合わせに行ったのですが・・・。
出てきた看護師さんは・・。「あぁ~、○○さんね!」と、患者さんのところへ・・。「○○さん!歯医者さんが来とるよ!」とお休みの患者さんを起こしました。え~、うそだろ!顔色がおかしい。酸素飽和度は89%!!!
「おいおい、起こすとやばいよ!」ふと見上げると「絶食中」のプレートが・・。そして点滴中。
「なんで、絶食なんだ!ついこの前までは食べてたのに・・」
「いやね、食べさせたらむせるんですよね!」
「前の病院からの申し送りはないの!?」「食事形態とかかいてあるでしょう?」
「私は、把握してませんね~。知りませんよ~。」
「○○さん歯医者さんが、入れ歯作りにきとるよ~~。」
「もう、ええから、寝かせてあげてください。保湿剤おいてくから、口腔乾燥だけでも防いであげてください。」と
持ってる保湿剤をあるだけ置いて帰りました。何にもできなかった。情けなかった。
それから、何日かして、患者さんは亡くなりました。元の病気が悪化したのかも知れないし、誰も責めるつもりはありません。何か、悔しい気持にさせられるのは私だけではないでしょう。
何年ぶりに新しい入れ歯をつくり食べるところ見せてほしかったですね。待っていたおじいちゃんの顔が忘れられません。
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高齢者の孤独死 [診療日誌]

「あなたの診療所に通っていた〇○さんが、亡くなったよ!」と夜帰宅したら母が、そう言いました。とっさに、だれかわからなかったのですが・・。そうそう、メインテナンスをご希望されて、何年も当院に通われていた方でした。いつも春や秋のはじめころに、歯のクリーニングを受けるために、来院されてましたあの方でした。まじめな方ですので、冬の寒い時や夏の暑い日にお呼びすると、辛い思いをさせるのではないかと思い、春や秋のはじめ、気候のよい時に 歯のクリーニングを、受けたらどうですか?という当院の提案を、うれしそうに受け入れてくださって毎年、お話しできないのに、すてきな笑顔を見せてくださる方でした。
この方は60代で脳梗塞を発症してお話をするのが、おぼつかなくなり、また軽度の歩行困難があるのですが、遠い私の診療所まで、いつも歩いて来られてました。最近は、一人暮らしをされているようでしたが、お元気そうでした。だけど、秋になって死後数日ほどして見つかったそうです。もし、早く発見できていたら・・・とも、思いますが、気にはかけていたご近所の方も、そうそう注意を払うのも困難です。私の近所にも病気を抱えながら暮らしている高齢者の方が、少なくありません。気にはかけてますが・・・。  
  まだ、お若かったのに・・。まだまだ、笑顔を拝見できたらと思ってましたのに・・・。
老々介護もそうですが、高齢者でしかも病気のある方の一人暮らしも、いろいろ考えさせられることが少なくありません。御近所の見守りも必要ですが、いつでも家に他人が入ってくるのは、防犯、プライバシーの問題があり簡単にはかたずけられません。ある意味都会化した地方都市の高齢化社会は、難しい一面があるようです。
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高齢者の歯肉 [診療日誌]

IMG_8415縮小.jpgこの写真を見てください。今年78歳になるご婦人の下の前歯です。歯周病専門医だから、歯茎にどうしても、目がいきます。年齢からくる歯肉の退縮はしかたがないのですが・・・。実にきれいなピンク色をしています。
メインテナンスで、もう10年近く定期的に来院されています。

さて、歯周病は慢性疾患で治療後には、長期にわたるメインテナンスが必要です。しかし、高齢になったり、認知症になるとメインテナンスが途絶えてしまうことも懸念されます。一番メインテナンスが必要な時に、歯科の恩恵を受けられない。この患者さんも、このままの歯肉で一生涯すごすことができるのでしょうか?

今、歯周病の学会では、何年もった、何十年の予後経過があると症例が報告されてます。それらの症例は、いろんな治療を駆使して、素晴らしい改善と維持をされており、本当に勉強になることが少なくありません。しかし、これらの患者さんが、ひとたびいろんな障害や病気になって入院されたり、施設に入ってからは、どうなるのでしょうか?そのようになっても、一生涯維持するには、どうしなくてはならないのか・・。これからは、インプラントが埋められり、高度な歯科治療をされた患者さんも多く高齢者となっていかれます。歯科医もいろんな術式を学ぶのも結構なのですが、高齢者の方に、どうかかわっていくかが大切になってくるのではないかと考えています。

今、現在わかっていることは、専門家による注意深いメンテナンスが行われると非常に高い確率で歯と歯茎の健康が保てるということです。
この方が、例え何かの病気になった場合にも、この健康な歯肉をできる限り保つことを真剣に考えないといけません。摂食嚥下のこと、口腔ケアのこと、介護のこと、生活のこと、さまざまな要素を考えないと保つことはできないのです。ただ、歯周病のことだけではすまされないと考えなければなりません。1枚のお口の写真から、さまざまなことが、思い浮かんできます。
私の恩師、昭和大学歯周治療学教室の故長谷川教授に「歯周病の治療すると、いろんなことがわかってくるよ!」と教えていただいたことは、このことも1つなのかな?と思っています。
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