死ぬという大仕事 [口腔ケア]

「死ぬという大仕事」という題名の本は、作家上坂冬子さんが、自らのがんについて書いた闘病記です。
昨年より末期がんの89歳のおばあちゃんの口腔ケアをするためにご自宅へ通わせていただきました。
お口の中を清潔にすることやお口のリハビリをすることで、昨年の年末までかもしれないと言われてたのに反して、食欲がでてきて今年の3月にはデイケアに行こうか?というほどまで回復しました。
しかし、年齢からか、おばあちゃんの体力の限界かもしれないのですが、だんだんと食事量は減ってきました。
私たちも、訪問してお口をふいてあげて、手を握ってあげるくらいしかできなくなりました。
そして、今週の月曜日の早朝に、おやすみになるように静かに旅立たれたそうです。
診療の合間に、お別れに行ってきました。
ご家族から「口腔ケアの大切さが、自分の母をとおして、よくわかりました。こんなに生かせてもらって、ありがとうございました。食事がもう一度とれて、ほんとうによかった!」と感謝されました。

この、言葉で本当に救われました。
そして、いい亡くなり方だな・・・。と思いました。

いつかは、こういう日が来るのは、だれにもわかっていましたが、残された時間をどう充実させて差し上げるか。
医療者の端くれとしても、すごく考えさせられました。上坂さんの本のタイトルのとおり、本当に患者さんやご家族にとって、悲しいけど何か、暖かなものを感じていただけるお別れのための、お手伝いをする。
「死ぬのは大仕事」ですね。

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Henry

89歳という年齢ならばもうゆっくりと休ませてあげたい年齢ですね。
人間一度は死にます。
その日まで健康でいたい。
健康であってほしい。
そう願い行動なさっている南崎先生の気持ちが優しく感じました。
おばあさまもきっと喜んでいますよ。

これからも歯科医として、人として患者を癒して体を治してあげてください。
そのおばあちゃまへ「ご苦労様でした。天国でゆっくり楽しい日々をお迎え下さい」と手を合わせます。
by Henry (2010-06-04 05:48) 

なんちゃん

Dear Mr.Henry
ありがとうございます。Henryさんご自身が大変な時にこのブログは、お気に触るのではないかなと思いましたが・・。
よく生きるとは、こういうことかなと思いましたし、病院で死ぬことが多い日本ですが、在宅で本当にご家族に見守られながら、旅立っていかれたことをお手伝いできたことを、本当に、いい仕事につけたな~と思いました。
by なんちゃん (2010-06-05 12:09) 

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