高齢者の介護・・・う~ん! [診療日誌]

 学会で、素晴らしい仕事を見せていただいたのと、自分がやった仕事の発表で高揚感に浸っていると・・・
全く予想外のことに出くわす。
おばあちゃんが診療台に座っていた。
介護者の方が、時々連れてきては、「ばあさんが食べられんから、何とかしてくれ!」と・・・。
お口の中は、今日食べたのか、いつ食べたのかわからないような、もう汚物になっている食べ物が・・。
うゎ~!まいった。衛生士さんが、すぐにお口の中の掃除をはじめた。
歯医者は、あまりにもすごい状態に立ちすくんでいるのに・・衛生士さんはすごい。
みるみるうちに、お口の中はきれいになっていまった。
「ばあちゃんは、あなたとおなじものが食べられなくなっているよ。」
「トロミをつけたりして、飲込みやすくしてあげないとね。」・・といっても介護される方には、トロミが理解できない。  ばあちゃんの口の中へ、食べ物を押し込む毎日・・・。
「入れ歯をなおせば、なんとかなるじゃろう!」と、入れ歯への期待が大きいのに比べて、お口の機能の衰えの方が大きいことが、やはり理解できない。
何とかしてあげたい気持ちは、こちらも空回りして、時に患者さんやご家族に、容赦ない言葉になってしまう。
学んだことが、学んだとおりにできない。
介護の場では、こういったジレンマが決して少なくはない。
時世さん入院Scan10032.jpg

介護保険を利用したくても、その自己負担分を支払えないほど生活に困窮している場合もあるらしい。
手を差し伸べようとしても、介護する方の拒否もある。
いろいろと口腔ケアの話をして差し上げても「食事、洗濯・・おむつの交換・・そのうえ入れ歯やハブラシですか!?」、「そんなことできるなら、此処にはばあちゃん連れて来ないよ!」とも・・・言われたことがある。
認知症があって、いつまで続くかわからない介護生活。
本人も、家族も疲れ切っている。
ばらScan10502.jpg

良質な介護は、家族の支えそれがベースにあって、そのうえでケアマネの能力によると自分で勝手に結論づけていた。そしてそちらの方しか向いていない自分がいた。どっぷりと介護に携わる職業じゃないから、切り捨てて、よいとこだけ見ればいい。どこかで、そう考えている自分も、確かにいた。

最前線は、美談ではすまされない現実があるんだ。

みんな、辛い!

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コメント 2

徳さん

確かに『介護の現場』はすさまじいものです。美談というわけにはいきません。でも、家族の支えが一番でしょうね。私の両親は我が家の畳の上でなくなりました。ひ孫の顔まで見たのでよかったと思います。
by 徳さん (2012-09-11 16:32) 

なんちゃん

介護は、むずかしいです。診療室のようにいきません。
いろんな方が、いらっしゃるのですね。
徳さんのご両親は、お幸せでしたね。
みんな、ええ人生やった!って亡くなれたらいいのですがね。
by なんちゃん (2012-09-13 01:06) 

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