第13回日本在宅医学会に参加して [学会]

 昨年から、参加させていただいている学会で、日本在宅医学会という学会に今年も参加しました。img074.jpg
今年は、演者としてポスター発表をしました。演題名は「在宅における終末期の口腔ケアを行った1例」です。
当日は、東北関東の大震災の影響から、多数の演題キャンセルがありポスター発表もさびしい感じでした。
また、昨年同様にシンポジウムと歯科に関連するポスター発表の時間が重なってしまいました。興味深いシンポジウムも聴けずに残念でした。プログラムへの配慮をお願いしたいものです。
抄録在宅医学会img075.jpg
私の発表の内容を少し説明しましょう。
 末期の胃がんのおばあちゃんが、長年住み慣れた家で暮らしたいとの希望で、在宅で残された日々を過ごされていました。しかし、入れ歯の調子が悪いので訪問診療を依頼されました。入れ歯の調整をして、歯科衛生士による口腔ケアを開始したところ、食欲が増進して徐々に体力の回復が認められました。そして、一時期はデイサービスにいかせようか?というほどまで回復してきました。だが、やはり末期のがんです。やがて、徐々に機能は衰え半年後に亡くなりました。亡くなる5日前までお口から食事が摂れていました。
 経管栄養に頼らず最後までご自分のお口から、食事が摂れたこと、またご家族とゆっくりとお別れができたこと。私は、人間らしいお別れのお手伝いができたことがうれしくて、今回症例報告させていただきました。
学会発表に際しましては、患者さんのご家族のご協力と、主治医の先生からも、カルテや検査データもすべて提供いただき、単なる情緒的なケースプレゼンテーションではなく、医科学的な検討や考察も加えることができました。あらためて、関係者の方々に感謝いたします。しかし、この患者さんの、うまく仕事ができたのは、トータルヘルスプランナーとして、丁寧なケアプランを提供したケアマネージャーさんと、適切な口腔ケアを行った当院の歯科衛生士なくしては、成し得ることがなかったと強く思います。
本当に、貴重な経験をさせていただいて感謝します。ありがとうございました。
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コメント 4

ハワイの佐和子

病院ではなくて自宅で最期を迎えれるのは本人にとっても
うれしい事だと思います。ただまわりでケア出来る人がいないと出来ませんよね。最近は老人の一人暮らしが多い中訪問看護の大切さがとても重要になってきていると思います。私たちが小さい頃は大家族だったのにね。みんな長生きする時代なのに矛盾していますね。
by ハワイの佐和子 (2011-03-23 05:08) 

徳さん

わたしの両親は二人とも自宅の畳の上で最期を迎えました。父は88歳母は96歳でした。我々子供たちが近くにいたからできたことですね。今の家族体系ではなかなかできませんね。私自身はたして在宅で最後が迎えられるのかはなはだ疑問ですね。
by 徳さん (2011-03-23 17:19) 

なんちゃん

すみません。在宅で亡くなられたということも大切なことですが、この患者さんの場合は、口腔ケアによって口から栄養が摂取できたということ。そして薬でコントロールされる延命ではなかったこと。それは、たとえ末期のがん患者においても有効な手段であるということの方が強調すべき点でした。
by なんちゃん (2011-03-23 17:42) 

徳さん

昨日テレビで被災地のお年寄りの口腔衛生の大切さについて放映していました。ナンチャンの言われる通りものを食べられなければ助かるものも助からないことを強調されていました。
こういう時こそ歯の健康が見直されますね。
by 徳さん (2011-03-24 09:01) 

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